【コロナ感染に漢方薬】が
効果的な理由(ヒント:スペイン風邪)
こんにちは!
「コロナに効く漢方はありませんか?」
というお声が増加中ですが、
東北大学が今年(2022年)11月28日付で公開した研究結果をもとに、自分の考えも交えながらお伝えします。
・コロナに漢方薬はホントに効くの?
・西洋薬と比較して、どの程度効くの?
・どんな作用があるの?
といったことをまとめてみました。
コロナ後遺症予防も見据えて、知っておきたい情報のひとつという方は、最後まで読んでみてくださいね。
コロナ感染に漢方薬が効果的な理由
(ヒント:スペイン風邪)
「新型コロナウイルス感染症の急性期症状に漢方薬」という見出しで、東北大学の研究が報道されました。
漢方薬の服用で発熱が緩和され、重症化抑制が確認された、というものです。
なんだか、すごい期待できるタイトルですよね。実際、どうなんでしょう。。
コロナ感染に効く漢方薬のヒント
この研究で使われた漢方薬は2種類。
「葛根湯」と「小柴胡湯加桔梗石膏」という2つの漢方薬が併用されました。
葛根湯なら知ってる!という方は多いですよね。
もうひとつの漢方薬は、小柴胡湯(しょうさいことう)に、桔梗と石膏を加えた処方です。
この組み合わせのヒントは、スペイン風邪が流行した時に使われた漢方薬にありました。
スペイン風邪は、大正時代にとても流行した新型インフルエンザ。
その当時、効果が認められた漢方薬が「柴葛解肌湯(さいかつげきとう)」という方剤でした。
では、今回この「柴葛解肌湯」を投与した研究ではないの?!と思うのですが、
この方剤は現在、健康保険の適応になっていない漢方薬です。
そして、ドラッグストアでも販売されていません。
そこで、、、
柴葛解肌湯に含まれる成分に一番近いものとして、「葛根湯」と「小柴胡湯加桔梗石膏」の併用が、選ばれました。
<図 漢方薬に含まれる成分の違い (○が含まれている生薬)>
この表をみると、柴葛解肌湯は、葛根湯と小柴胡湯に桔梗を合わせた処方に近いということがわかりますね。
身体の表面を温め、「汗をかいて熱を下げる」作用と、身体の「内部の炎症を鎮める」という二つの作用を併せ持つ処方です。
寒気がして全身に倦怠感があり、熱が上がったり下がったり、しつこく激しい症状の風邪に適した漢方薬です。
漢方薬でも要注意。知っておきたい副作用
漢方薬は、西洋薬に比べれば、副作用の発現率は低く、安心な薬といえます。
ですが、上の表でもわかるように、2種類の併用された漢方薬には、重複する成分が含まれています。
今回、注意したい成分は「甘草」です。
読んで字の如く、甘い味の薬です。
食品の甘味料としても使われていますが、服用量が多いと人によっては副作用がでることがあります。
副作用症状としては、血圧上昇、浮腫、体重増加や手足のしびれ、脱力感、倦怠感、頭痛、口渇、食欲不振など。これらは偽アルドステロン症といいます。
一般に甘草の一日量が2.5gを超えると偽アルドステロン症の発症リスクが上がります。
今回の処方量で使われた一日量の甘草は4.0g。
一般的には1ヶ月以上の投与時に注意が必要とされており、今回の研究では、西洋薬を投与したグループとともに、問題となる副作用はなかったようです。
発症のしやすさは個人差が大きく、併用薬によって発症リスクが上がることも。
特に日頃から持病などで漢方薬を服用している方、服用期間が1ヶ月以上の方は、注意してください。
漢方薬は、コロナ感染にどの程度効果的なのか?
では、具体的に研究結果を見てみましょう。
効果が認められた2つの作用
今回の研究で、葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏の併用は、解熱効果と呼吸不全の悪化抑制に効果が認められました。
<発熱改善までの推移>
軽症・中等症 COVID-19 患者の感冒様症状に対する漢方薬追加投与に関する多施設共同ランダム化比較試験、発熱症状緩和までの日数
東北大学大学院医学系研究科
東北大学病院 プレスリリースより改変
このグラフをみると、西洋薬を投与したグループより1日づつ早く発熱が改善していますね。
漢方薬は、西洋薬と同レベル以上の効果が認められていることが示唆されています。
(プレスリリースのグラフをそのまま載せてはいけないかなと思い、改変しています。正確なグラフではないことをご了承ください。)
呼吸不全に至る症例の割合
個人的に、コロナ感染に漢方薬が優れていると思った点は、こちらです。
呼吸不全とは、動脈の血液中の酸素分圧が60mmHg未満になる病態。
通常は100mmHgです。呼吸不全は、様々な臓器や組織に悪影響を及ぼします。
この表をみると、ワクチンを接種していない人が、コロナに感染したら漢方薬を飲めば、呼吸不全が悪化するリスクが一番少ないという結果になっています。
ワクチンを接種されている方でも、漢方薬を服用していたほうが、西洋薬で治療を行うよりも呼吸不全悪化のリスクは下がっています。
効果が認められた服用条件
今回の研究では、軽症または中等症Ⅰのコロナ感染が確定された人に、発症から4日以内に漢方薬(葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏の併用)を飲み始め、14日間投与されています。
コロナ感染症に効果的な漢方薬の飲み方
この結果をみると、コロナウィルスの診断が確定する前から、早めに漢方薬を飲み始めることが効果的で、いざというときのために漢方薬を常備しておくのもよいかと思いました。
コロナ感染の診断が確定する前でも、漢方薬は特定のウィルスに作用するものではないので、安心して服用できます。
ドラッグストアや通販で買えない漢方薬、購入できます。
コロナ感染では、強い喉の痛みや咳、関節痛、倦怠感がでる方も。。。
インフルエンザも含めた感染症全般に対応できる漢方薬を、必要な日数分だけ常備できたら安心ですよね。
では、どんな漢方薬を常備したらよいの?!
と迷われることもあるかと思います!
漢方薬を感染症対策で購入される前には、ご自身の体質を確認してもらい、発症時にも相談できる店舗から買われることをお勧めします。
年齢や服薬中の薬によっては、お伝えする内容が変わる可能性もあるし、
実際に服用するときにも、飲み方を迷ったら相談できると、いざというときの備えとして安心ですね。
まとめ
コロナ感染症には、漢方薬は有効。
発熱や呼吸器不全に備えて、漢方薬を常備しておくのはオススメ。
発症後4日以内の服用で重症化抑制も認められ、コロナ感染の診断確定前から安心して服用できる。
その時になって、あわてる必要がないのが常備薬の利点。
今すぐは買わなくてもいいかな、と思われる方もいらっしゃると思います。