不妊体質は遺伝する!?

不妊治療が人類に及ぼす影響

不妊治療を人工的に行うと

「治療によって生まれた子どもも遺伝的に不妊傾向になる」
ということを頭に入れておく必要がありそうです。

 

2014年、国内の医療機関で実施された体外受精で生まれた子どもが
初めて累計で40万人を越えた。
というニュースが話題になりました。

体外受精は精子と卵子を体外で受精させ、女性の子宮に戻す不妊治療。

14年に生まれたすべての赤ちゃんの数は、約100万3500人ですから、
体外受精で生まれた子どもの割合は約21人にひとり。
学校のクラスに1人は体外受精で生まれた子どもがいるかも、という人数ですね。

晩婚化を背景に、加齢による女性の卵子の老化が不妊原因のひとつと考えられていますが、
そもそも、人類はほかの動物に比べて格段に妊娠しにくい動物であることをご存知でしょうか。
20代から30代前半の妊娠適齢期の女性が、1回の排卵時で妊娠する確率は
25~30%といわれています。

この数字、他の動物と比べて考えてみたことはありませんよね。

 

そもそもヒトの精子は、退化の一途!?

皆さんは中学生の時、保健の時間に「ヒトの精子」動画を見た記憶はありませんか。
オタマジャクシみたいな形で、しっぽが細長い精子がふにゃふにゃと動く様子はチョット衝撃的でした。

しかし、これよりももっと衝撃を受ける動画をNHKの番組で見たことがあります。

 

 

同じ哺乳類である「チンパンジーの精子」です。

ヒトの精子と比べてみると、
その動き方が驚異的に違うことに驚きました。

チンパンジーの精子は、ヒトの精子の10倍以上!?とも思われるスピードで
まるで一瞬で消えてしまう無数の流れ星みたいにうごめいています。
速さだけではなく、素早く動いている精子の数にも圧倒されます。

ヒトの精子の場合、正常な方でも

運動していない精子が半数以上ですからね。

 

すざまじい生殖能力です。

 

チンパンジーの群れは、一匹の発情したメスに対して複数のオスが同時期に交尾をするそうです。
発情期のメスの子宮の中には、複数のオスの精子が大量に存在しているのです。
違うオスの精子同士が熾烈な戦いを繰り広げて、卵子にたどり着きます。

素早く元気な精子だけが受精して子どもが生まれるので、その子どもの精子達はますます元気に。
チンパンジーの生殖能力は、着実に進化をし続けていたのです。

 

退化するには理由があった

一方で、ヒトは一夫一婦制。
赤ちゃんをしっかり育てるために男女の恋愛感情が生まれ、夫婦が協力しあってたいへんな育児期を乗り切ります。

発情期もありません。

受精の時に違う男性の精子同士が競争することもなく、
チンパンジーと比べたら
ゆるゆる卵子にたどり着いても問題ないというわけです。

 

世界的には、ここ数十年で進歩した生殖医療の実施数が広まり、
生殖医療で生まれた赤ちゃんも増加しています。

ところが、自然妊娠の赤ちゃんは減少しているのです。

 

ノルウェーの調査では、自然妊娠で生まれた赤ちゃんは年々少なくなっていますが、
生殖医療で生まれた赤ちゃんは毎年増えているため
全体の赤ちゃんの出生数は、横ばいで推移しているという状況だそうです。

日本では、高齢化社会のために死亡者数が増加傾向なので
日本人全体の人口は減少傾向ですが、
生まれる赤ちゃんの人口に関していえば、ノルウェーと同じ傾向になるとのこと。

 

生殖医療で生まれる赤ちゃんは、今後も増えていくことでしょう。

 

生殖医療をはじめる前に一度は考えてみるべきこと

精子や卵子を人工的に選んで生むという選択を一度始めてしまうと、
自然淘汰や競争がなくなるために、生殖能力は退化する。
一度人工の手が入ったら、人工的な介入をし続けなくてはならない時代になる。
と結論づけている研究者もいます。

 

それは、「不妊体質の遺伝」と言い換えることができるかもしれません。

 

だからといって、赤ちゃんを望む夫婦が生殖医療で授かることができるようになった現代においては、
このことが理由で生殖医療を否定することにはならないでしょう。
この議論については研究者や宗教、国によっても意見が分かれるところではあります。

ただ、このことを頭に入れて考えてみると、妊娠しにくいからといって
生殖医療だけに頼り続けていると、ヒトの生殖能力は徐々に退化するという事実
受け入れる必要はありそうです。

「カラダ全体の体質・体調を整える」ことをベースにした漢方薬での不妊治療は、
卵子と精子が出会う確率を高める生殖医療とは違った視点からのアプローチです。
(もちろん、生殖医療でもより質の良い卵子や精子を選んでいくことはあるでしょう。)

 

妊娠はカラダ全体でするものです。

カラダ全体を整えていくことは、自然と精子や卵子の質を高めることにもつながります。

ヒトは、生き残るために変化してきた生活様式や文化が、結果として「妊娠しにくい変化(退化)」をとげている生き物でもあるという事実。

生殖医療がさらにこのことに拍車をかけているのも事実なのでしょう。

 

妊活を生殖医療を頼るにせよ、頼らないにせよ、
漢方薬をはじめとした「カラダ全体の体調を整えていく」ことは、「生殖医療が進歩すればするほど」ますます大切にしてほしい視点です。

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